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患者 70歳女性
初診日 平成12年4月8日
既往歴 昭和57年に胆嚢を手術。
症状 主訴は、去年の暮れから咳嗽が続いていた。
そこで心配になって、2月28日より4月7日まで入院した。
色々検査をした結果、肺癌と診断を受けた。
今も咳嗽が続いている。胸が痛む。右腰が痛む。下肢、特に足元が冷える。
健康状態 食欲はあまりない。大便は1日1回で普通便。小便は普通に出るが、残尿感がある。
月経は51歳で閉。子供は1人。
ところで病院の医師の見解によると「手術は無理」と言うことであった。
そこで当医院を思い出して、15年ぶりに来院した。
慎重157cm、体重49kg。診察すると脈診は沈で弱。胃の気脈はほとんど感じられなかった。
舌を診ると湿潤している。
4月8日(来院時)
紫根牡蛎湯合真武湯を投与して様子を見ることにした。
4月20日
薬を飲んでから3日目から10日目まで下痢をした。
後は軟便。胃がもたれる。腰痛を訴える。腹候は両腹直筋が少しゆるんできているのが認められた。
血圧126/64mmHg。脈拍70。
そこで小建中湯に甘草を増量して、更に乾姜、紫根、附子を加味して投与して様子を見ることにした。
5月6日
投薬のみ。
5月17日
体重が51kgになる。5月9日に病院にて診てもらったところ、狭心症と診断された。
咳嗽がまだ出る。体温が36.2~36.3℃ある。腹候は前回とあまり変化は認められない。
血圧122/66mmHg。脈拍70。
そこで麦門冬湯加地黄、阿膠を投与した。
5月31日
投薬のみ。
6月1日
咳嗽が減少してきた。そのため紙オムツが必要になった。
「全く嬉しいことである」と患者が感謝を述べた。
今だ食べた物が心下部でつかえるので、心配になって病院で診てもらったところ、食道が痙攣していると診断された。右腰がしびれる。腹候は前回とあまり変化は認められなかった。
血圧118/64mmHg。脈拍69。
そこで同方と半夏朴湯加山梔子、附子を加味して、一週間ずつ交互に服用するように指示して投与した。
7月1日
2種の薬を1週間分ずつ投薬した。
11月21日
今回のケースは末期の肺癌で手術も不可能な患者で、どうしたら「病気を治せなくても病人を楽にしてあげることが出来るか」を模索しながら、なんとかソフトランディングをする道を探った。
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