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患者 24歳女性
初診日 平成2年10月24日
既往歴 特になし。
症状 某都立病院にて全身性エリテマトーデス(SLEと略称)という診断を受けた。
その後、J大学病院で難病指定を受けた。但し、後で混合性結合組織病(略称でMCTD。後述)と診断名が変わった。
主訴は、両手・両足にレイノー現象が出現し、6月(平成2年)に39度大の発熱を見た。
そこで心配になって、某都立病院で診察を受けた結果、前述ととおりSLEを診断を受けた。
自覚症状は、非常に疲れる。その他には眼精疲労がある。
健康状態 体温は平熱。食欲は正常。小便の出も悪くない。大便は1~2日に1回。
生理は順調。身長160cm。体重50kg。
診察すると、脈診は沈。舌を見ると特別な変化は認められない。
腹証は血圧100/54 脈拍は71。
10月24日(来院時)
処方として、当帰四逆加呉茱萸生姜湯を投与。
追記。その後、前述のとおり某大学病院から難病指定を受けた。
11月17日
変化は無いとの事。
12月5日
投薬。
12月16日
疲れると訴えるので、同方に十全大補湯を投与。
(平成3年)1月6・27日
投薬。
2月9日
患者が語るところによると「良くなってきた」
そこで、十全大補湯から小柴胡湯に転方する。
2月28日
検査結果を報告のため来院。白血球数2600/mm3。抗核抗体(+)
3月9日~5月26日
投薬。
6月12日
大分良くなった。とのこと。
6月30日
投薬。
7月18日
レイノー現象が無くなった。とのこと。
患者はこの病気に精しいと見えて、専門用語を使って嬉しそうに語った。
8月4日~11月9日
投薬。
12月14日
手の浮腫が無くなり、激しい痛みが消えた。とのこと。
(平成4年)2月26日~6月5日
投薬。
7月2日
元気になった。とのこと。
8月2日
投薬。
12月16日
未婚であったが、妊娠6ヶ月と判明。
(平成5年)5月14日
電話にて、3月18日に早産であったが2622gの女児が生まれた。と報告を受けた。
そして、不思議な事は妊娠した結果、SLEに近いと診断を受け、出産後プレドニン15mgを服用している。
当然といは言え、妊娠する前より副腎皮質ホルモンでの治療ではなくて当医院での漢薬でのみの治療であった。
ところで混合性結合組織病とは「今日の診断指針」には、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発(皮膚)筋炎の臨床像を合わせ持ち、
血清学的に抗核抗体の一種である抗うRNP抗体が陽性の疾患を言う。
30歳代の女性に多い。とある。
更に同誌に参考になる見解として、
(1)SLEの臨床像・・レイノー現象、多発関節痛(炎)、紅斑、脱毛、漿膜炎、白血球減少など。
(2)強皮症の臨床像・・レイノー現象、手指・手背の腫張、食堂の以上、肺病変など。
(3)多発(皮膚)筋炎臨床像・・筋肉痛、筋力低下、筋原性酵素の上昇など。
(4)抗RNP抗体陽性
(4)が必須で、(1)~(3)のうち2つ以上あれば混合性結合組織病と診断可能。
以上で西洋医学的には理解できるが、診断を付けることは非常に難しいことが判る。
ところで、本小生に対して小柴胡湯と当帰四逆加呉茱萸生姜湯はレイノー現象があるところに目を付けて使用した。
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