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患者 62歳女性
初診日 平成6年9月6日
既往歴 15年前より本態性高血圧で、今は新薬を服用していない。
症状 主訴は、昨日病院に行き、血圧を測ってもらったところ194/90mmHgあった。
原因として考えられることは、息子が交通事故にあい、脳血管の手術の予定で、とても心配である。
それと胸の前、あるいは後ろからメリメリと締め付けられる。
時間にして5~6分で、食堂まで放散する。
しばらくの間、多忙なので、漢方薬のみで治療をしていきたい。
その他には、少しのぼせる。口がベタベタと粘りつく、腰痛がひどい。
下肢がほてる。非常に疲れやすい。
健康状態 食欲は小食であるが、一応なんでも食べる。大便は1日1回普通便。
小便は普通。睡眠は普通。月経は44歳で閉。子供は3人。流産は1回。
体格は中肉中背で血色は普通。皮膚の艶も普通。
身長153cm。体重56kg。診察すると、脈診は細く数。舌を診ると湿潤している。
腹証は、血圧188/103mmHg。脈拍83。
9月6日(来院時)
漢方として、加味逍遙散科合抑肝散科として投与して様子を見ることにした。
9月20日
肩が楽になる。気持ちがずいぶんと落ち着く。
息子が9月7日午後1時~9時まで手術を行った。
腹候は、心下部の膨隆感は消失していることが認められた。
血圧151/82mmHg。脈拍69。同方を投与。
10月4日
大分良い。しかし少し風邪気味である。
腹候は心下部の緊張が少し認められた。
血圧149/85mmHg。脈拍67。同方を投与。
10月18日
体調は良好。手術をした息子の容態があまり良くない。
とても心配である。腹候は胸脇苦満が認められた。
血圧157/86mmHg。脈拍70。同方を投与。
11月1日
息子のことがとても不安である。
「もしかしたら再度の手術をするかもしれない」と医者から言われている。しかしながら漢方薬を飲んでいるためか体調は良好である。腹候は前回とあまり変わらない。
血圧160/86mmHg。脈拍62。同方を投与。
11月15日
体調は良好。しかし息子の事故の心配のため、気持ちがどうもスッキリしない。
腹候にはあまり変化は認められなかった。
血圧163/83mmHg。脈拍66。同方を投与。
12月7日
体調は良いが、少し頭痛がする。
腹候は胸脇苦満が少し緩んできているのが認められた。
血圧155/83mmHg。脈拍69。同方を投与。
今回のケースは、息子のアクシデントで以前から高かった血圧が更にあがってしまった症例であった。
所謂脳がパニックになった状態と考えられることから、なんとか気持ちを静めることが必要と判断した。
気持ちが静まれば必然的に血圧は下がるものと予想されたので本方を投与してみて良い結果を得ることが出来た。
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